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2025.02.01

表町の人気ハンバーガー店「コージーズ」が出石町へ移転!
物件との出会いとアメリカ旅から生まれた挑戦とは

コージーズ店主、藤原浩二さん。

岡山で根強い人気を誇っていたハンバーガー店「コージーズ」が2024年11月、岡山市北区表町から出石町に移転しました。

2002年に表町で営業を始めた「コージーズ」は、ファーストフード店のハンバーガーが主流だった時代から味や素材にこだわるプレミアム路線を切り開いてきた岡山の“グルメバーガー”の先駆けです。

肉肉しいパティとフレッシュな野菜をぷっくらバンズでサンド。タワーのように分厚いハンバーガーは、お腹も心も満たされる食事として食べる人の心を掴んできました。

店主の藤原浩二さんが22年間営業を続けた表町を離れ、出石町へ移転を決意した背景には、ハンバーガーの本場・アメリカを旅して得たインスピレーションを活かせる“歩いて気持ち良い出石町”との出会いがありました。

2024年11月29日(いいにくの日)に移転オープンしたコージーズの店内。

今回の場所
築年月日:昭和46年10月/構造:鉄筋コンクリートブロック造陸屋根3階建/延床面積:97㎡

登場人物プロフィール 藤原浩二(ふじわらこうじ)さん
岡山県岡山市出身。居酒屋・カフェ・イタリアンなど、岡山市内の飲食店で経験を積み、2002年に表町でカフェ「コージーズ」をオープン。2024年に出石町へ移転し、新店舗での営業をスタート。

2000年代の岡山にプレミアムなハンバーガーを

藤原さんは岡山市内の居酒屋・カフェ・イタリアンで飲食店経験を積み、2002年に表町でサンドウィッチや本格エスプレッソを提供するカフェをオープン。「岡山にはないことをやりたい」という思いから、いわゆる“グルメバーガー”をメインとした営業をはじめました。

「コージーズ」が表町でお店をはじめた頃は、ハンバーガーといえば100円前後のファストフードが主流でした。一方、「コージーズ」のハンバーガーは約10倍の1,000円台。都市部でもまだまだ少なかったプレミアムなハンバーガー屋をどのように続けてきたのでしょう。

藤原さん「最初の4、5年は苦しかったですね。1,000円のハンバーガーと聞くとピザくらいのサイズをイメージされるお客さまもいました。

とにかく自分が良いと思ったものを出して、お客様にできる限り良い気持ちで帰ってもらおうとがむしゃらに営業を続けてきました。徐々に口コミで評判が広がっていき、幅広い方に足を運んでいただけるようになりました。2週間に1回必ず朝一番に並んでくれる常連さんもいて、飲食店も捨てたもんじゃないな、続けて良かったなと思いましたね」

出石町のまちなみを眺めながら当時を振り返る藤原さん。

移転先の条件は「歩いていて気持ち良い場所」

そんな「コージーズ」は、岡山市街地の再開発にともなう立ち退きにより、22年間の思い入れが詰まった表町の店舗を離れることに。しかし、意外にも藤原さんは移転に対して前向きでした。

藤原さん「長いような、あっという間のような。表町ではもうやり切ったと思えたんですよね。立ち退きの話が出た頃から次は違う雰囲気でやりたいと考えていたので、むしろいいきっかけだったのかもしれません」

藤原さんは立ち退きが決まるとすぐに次の物件を探し始めます。

藤原さん「一番大事にしたのは、自分が営業していて気持ち良い場所。それ以外は本当にどこでもよかったんです。
でも岡山の市街地にはほど良い物件が少なくて、視野を広げて瀬戸内市や、尾道、瀬戸田、総社まで足を延ばしました。あまりに見つからないときは、何もない田んぼに建物からつくろうかとも考えましたね(笑)」

朝の散歩中に見つけた出石町の魅力と理想の物件

内覧した物件数はなんと計30軒以上。それでもピンとくる場所に出会えなかった藤原さんが現在の店舗を見つけたのは、朝の散歩中でした。

藤原さん「移転までの間は朝の散歩が日課になりました。出石町も後楽園も家から徒歩圏内なのに、店をやってた頃はあまりゆっくり歩いたことがなかったんです。岡山の市街地でありながら緑がいっぱいでこんな気持ち良い場所があるんだと、出石町エリアの魅力を再発見しました」

藤原さんが気に入ったという「鶴見橋」とそこから見える風景。

そしてある日、いつものように散歩をしている藤原さんの目に止まったのが、3階建ビルの2階にある「テナント募集」の文字だったといいます。

藤原さん「物件が出ているなと思って電話してみたら、それがHITPLUSの所有する建物だったんですよ。担当の松野さんは真摯に話を聞いてくれる好印象な方だったので、さらにご縁を感じました」

しかし、藤原さんにはひとつの懸念が浮かんできました。それは、テナントが2階であること。

藤原さん「一般的に、飲食店の2階は集客が難しいといわれています。道路に面している1階に比べて看板が目立たず、何をしているかがわかりづらいんです。東京や大阪、京都なら雑居ビルに飲食店がひしめき合っていますが、岡山ではあまり見かけない業態なので、2階でやっていけるのか不安もありました。

それでも2階であること以上に、旭川と緑が近い周辺環境や、1階にあるテラススペースに惹かれ、現在の物件に決めました」

「コージーズ」がお店を構える3階建ビル。3階には「HITPLUS」の、1階にはクラフトビール専門店「Kawazu Brewing(カワズブルーイング)」が入っています。

サンフランシスコで学んだ「シンプル is ベスト」なハンバーガーを岡山にも

閉店から移転までの期間、藤原さんは約1ヶ月間、念願だったアメリカ旅へ。サンフランシスコとロサンゼルスを訪れます。

藤原さん「アメリカを訪れて驚いたのが、多くのお店が積極的に体に優しい食材を使っていることでした。ボリューミーで、大味で、ジャンキー。そんなイメージを勝手に持っていたのですが、むしろ日本よりエコやオーガニックの基準が厳しく、現地の人が食べているハンバーガーはシンプルで、ナチュラルな味わいのものが多かったんです」

藤原さんがアメリカで食べたハンバーガー。
カラッと晴れたロサンゼルスの気候に感動したという藤原さん。

本場のハンバーガーカルチャーを肌で感じた藤原さんは帰国後、移転に向けて「Slow foodの価値観をFast foodのハンバーガーで」を「コージーズ」の新しいコンセプトに掲げ、よりフレッシュな食材を使ったサンフランシスコスタイルを目指してメニューを一新します。

藤原さん「バンズ、お肉、レタス、ソース、全部変えました。バンズは複数の小麦を配合したリッチな味わいに。パティは岡山県産の牛肉を使用し、毎朝専用のミンチ機械で挽いています。

特に大きく変えたのが具材を重ねる順番です。ハンバーガーは下にあるものほど味の印象が残りやすいといわれているんですよね。以前はレタスを一番下にしていましたが、新しいハンバーガーはじっくり味わって欲しいパティを下にしています」

リニューアルしたハンバーガーは「前よりおいしくなった」という藤原さんの自信作。

ハンバーガーに添えるフライドポテトやピクルスもパワーアップしました。アメリカでピクルスといえばハンバーガーには欠かせない付け合わせ。藤原さんがアメリカで食べたピクルスをもとにレシピを開発し、ハンバーガーに合うよう酸っぱすぎないスパイシーな味わいに仕上げたといいます。

ポテトはできるだけ新鮮なものを提供したいと、ジャガイモを毎日特注機械でスライスしています。味付けも塩のみに。
さっぱりな味付けとシャキッと食感がたまらない自家製ピクルス。

出石町で“アメリカ”が感じられるハンバーガー店を目指して

2024年11月にオープンした店舗の広さは以前の1.5倍ほど。広くなった店内には窓からたっぷり光が降り注ぎ、ゆったりと食事を楽しむことができます。

藤原さん「壁を塗ってカウンターを設置し、店内は最小限の改装で仕上げました。意外と手を施さなくても変わるもんですね」

物件空き店舗時のbefore写真。
移転オープンした「コージーズ」の店内。

建物前のテラススペースには、建物内の他テナントと話し合い、テーブルやパラソルを設置。観光客や地元の人が行き交う場所として憩いのスペースを整備しました。

散歩の休憩スポットにも使える建物前のテラススペース。

もちろんテイクアウトもOK。ドーナツの販売や、受け渡しのセルフサービスなど、移転して新しくなったポイントも。

「コージーズ」が販売するオールドファッション生地のドーナツ。

藤原さん「アメリカで技術的なことも学びましたが、一番大きかったのはアメリカの風土ですね。ロサンゼルスはずっと25℃くらいのカラっと晴れた気候で、なぜ外国人が外でご飯を食べたがるのか、いつも上半身裸でいるのか理由がわかりました。

僕がアメリカで体験したことや、好きだと思ったハンバーガーを岡山の人にも味わってもらえる場所を目指して、一口食べたらサンフランシスコのさわやかな風がさーっと吹くような、本場の味を探求していきます」

「何より地域密着!地元の人に愛されるお店でありたい」と語る藤原さん。

藤原さんのお話を聞きながら、「こんなにおいしいハンバーガー店が岡山に留まってくれてよかった!」と天を仰ぎました。それもこれも、藤原さんがやりたいお店にあったエリアと物件があったから。

お店をやりたいと思ったエリアがあったらそこに足を運び、ぷらっと散策してみると、物件との偶然の出会いが待っているかもしれません。

岡山はロサンゼルスにも負けない「晴れの国」でもあります。「コージーズ」が移転したことで、店内はもちろん、テラス席や旭川沿いのあちこちでハンバーガーを食べる人が増え、出石町にアメリカの西海岸ような風景が広がっていきそうです。

HITPLUS 担当者コメント

お問い合わせいただいた際に一番大切にしていることは、やりたいお店のイメージを丁寧にヒアリングすることです。探している物件の広さや予算、エリアなどの基本情報はもちろんのこと、どういうお客さんにどのようなサービス(商品)を届けたいのか、店主自身が何を大切にして店づくりを考えているのかなど色々なお話を伺います。物件を探す側の不動産会社がどれだけイメージの共有をできるかが大事だと思っているからです。

藤原さんは、初めて2階の物件に出店するということで、当初は集客や認知性を気にされていました。何度かお会いする中で、私たちが出石エリアをこれからどのようにしていきたいか、お店が少しずつ増えて小さな動きが出てきていることなどをお話しさせていただきました。
藤原さんご自身で時間帯を変えながら物件を訪れては、人や車の流れを観察したり、周辺を何度も歩き回り、建物全体の使い方までイメージを膨らませて出店をご決断いただきました。

藤原さんもおっしゃっていますが、「営業していて気持ちの良い場所かどうか」は出店のご判断をされる際に私もよくお伝えしていることです。物件(エリア)や周辺環境に業態があっているかという視点も大切ですが、この場所でお店をしたいという想いが何より大切であると考えます。心地良い場所にいると自然とアイデアが湧いてきたり、穏やかな気持ちで営業できますし、この場所をどのように育てていくかという視点も持てるのだと思います。
藤原さんがこの場所でこれから何を生み出してくれるのか楽しみにしています。

店舗詳細 コージーズ

住所 : 岡山県岡山市北区出石町1丁目7−7 2F
営業 : 10:30〜17:00
定休 : 火、水 最新情報はコージーズのインスタグラムをご確認ください。

スタッフクレジット 
text : 岩井美穂(ココホレジャパン)
edit : アサイアサミ

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